2007年01月27日

根拠を作れない人たち(後編)

 前回の記事で、顧客に納得してもらえる資料をつくるには、点情報の事実をMECEになるようにパターン分類して全体を網羅した上で、そのパターンを根拠としてパターンそれぞれについて対策を考えて提案することが必要だと書いた。

 さて、以前、「2006年09月17日 わからないことを聞かない人たち」の記事で登場した人たちは、これがうまくできなくて、顧客に納得してもらえる資料を作ることができなかった。興味深いことに、うまくできない理由がまた、3人3様なのである。

 Aさんは、パターン分類そのものができない。抽象化そのものが難しいようで、どうしても点情報の事実に対しての対応策しか作れないのである。

 Cさんは、一応パターン分類をしようとする。しかし、いま見えているすべての点情報がパターンにおさまった時点で、考えることをやめてしまう。つまり、パターン自体がMECEになっているかどうかの検証を行わないのである。そのため、パターン分類自体にモレがあることに気づかない。

 Bさんは、パターンが出てくれば、パターンがMECEになっているかどうかを論理的に検証できる。しかし、経験が浅く、パターンのストックが少ないために、その場その場に応じた適切なパターン分類を見つけ出せない。

 このことから、事実から根拠を作り出すには3つの能力が必要だということがわかる。

 1.事実を抽象化してパターン化する能力
 2.パターンがMECEになっているかどうかを論理的に検証する能力
 3.パターンの分類軸のストック

 では、この能力を鍛えるにはどうしたらいいのだろう?

 数学の問題を解く例に当てはめて考えると、この能力のレベルには大きく2つのレベルがあると思う。
1つ目は、いくつかの公式を覚えて、問題を解くのに適当な公式を当てはめて問題を解くレベル。
2つ目は、問題から新たな公式自体を見つけ出して問題を解くレベルである。
とすると、2つ目のレベルは難しいとしても、1つ目のレベルは訓練次第で何とかなりそうだ。

 事実から根拠を作り出すときの公式にあたるものは、たとえば「5W1H」や「人・物・金・情報」や「マーケティングの4P」、「2006年05月27日芋づる式分解」の記事で書いた「処理に関わる4つの外部要素」や「データを操作する4つの処理」といったよく使われるMECE分類の軸である。これらの公式を知っていて、いずれかの公式を当てはめることができれば、ある範囲の問題は解くことができるようになるはずだ。

 したがって、あなたがもし、部下の「事実から根拠をつくる」能力を鍛えたいと考えているなら、あなたが普段使っているパターン分類を公式化して、そのパターン分類の公式の使い方を実践で指導して訓練するとよいだろうし、自分自身のその能力を鍛えたいと考えているなら、身の回りにある報告書や仕様書などさまざまなアウトプットに使われているパターン分類の公式を盗み出して、それを使ってみることで使い方を訓練するとよいのではないだろうか?

 (もし実践した方がいらっしゃるなら、是非結果を教えてください。成功、失敗、課題、疑問、なんでも結構です。実験データの収集にご協力御願いします。)
posted by koppe at 11:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 90.最近の出来事から | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年01月20日

根拠を作れない人たち(前編)

 あけましておめでとうございます。久々の投稿です。

 システムの要件定義のフェーズでは、事前に確認した現状業務の情報から、どの部分をどのようにシステム化するかを導きだして顧客に提案する。

 たとえば現状業務の事実が20ケースあるとしよう。20ケースのそれぞれについて、こうシステム化します、といったところで、顧客は納得するだろうか?
 それでは、どんな人でも納得することはできない。
 なぜなら20ケースはあくまで現時点で見えているケースであり、他に漏れていないとは誰も断言できないからだ。

 では、漏れていないことを納得させるには、一体どうしたらいいのか?
 現状業務の事実はあくまで点情報である。点情報のままでは、漏れているかどうかはわからない。漏れていないことを検証するには、点情報を面にして面で全体をもれなく埋めるしかない。点情報を面にするとは、点情報を抽象化してパターン分類し、判明している点情報がすべていずれかのパターンに分類されること、パターンが全体を網羅していることを示す必要がある。パターンが全体を網羅しているとは、パターン自体がMECEになっているということで、たとえば、時間軸で隙間なく分解したり、以前このブログで議論した反対語で分解したりすることである。

 このように、現状の事実をもれなく抽象化されたパターンに分類した上で、パターンそれぞれについて、この部分はこういう理由でこうシステム化する、この部分はこういう理由でシステム化せずに人間系で運用する、と説明することで、顧客は検討漏れを心配することなく、理由とシステム化イメージの議論に集中できる。
tenbunrui.JPG

(後編に続く)
posted by koppe at 23:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 90.最近の出来事から | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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