2006年07月15日

滑り込みセーフ

 先日、お客様に対するヒアリングの結果をまとめた業務フローをお客様に確認していただくためのレビュー会を実施しました。
 ヒアリング結果のアウトプットの評価は、ヒアリング対象者から聞いたことをどの程度理解して表現できているかによって180度変わります。相手が「私のしゃべったことをかなり理解してくれている」と思ってくれれば、あとの間違いは機嫌よく指摘して直してくれます。しかし、「せっかくしゃべったのに、ほとんど理解してくれていない」と感じると、「一体何を聞いてたんだ!」とクレームになってしまいます。

 今回の仕事では、私はヒアリング全体の取りまとめを担当しており、ヒアリング結果から業務フローを作成する作業は別の組織の2人で分担していました。ところがレビュー会の4日前にふたを開けてみると、内容は惨憺たる状態でした。書き方が分からないのではなく、聞いたことを理解していないので、何を書いていいのかわからないか、書いた内容があっているか違っているか分からないという状態だったのです。2人とも、私とまったく同じ内容を聞いているにも関わらず、です。一時はレビュー会で玉砕することも覚悟しましたが、レビュー会の前2日間、缶詰状態で2人が私の説明を口述筆記するというやり方で、何とかぎりぎり玉砕を回避することができました。

 私と業務フローが書けなかった2人の違いは何なのでしょうか?なぜ、私とまったく同じ内容を聞いていながら、理解した内容にこれだけの差ができてしまったのでしょう?

 私は、ヒアリング結果のアウトプットである業務フローのイメージをヒアリングする前から持っていました。そして、業務フローのイメージを頭の中に描きながら、頭の中で描ききれない部分はメモにイメージを書きながら相手の話を聞いていました。業務フローのどこに箱を置けばいいか分からないところや、どう線をつなげばいいか分からないところはその都度確認し、それが描けたところは「理解した」と自分で確認しながら聞いていたのです。
 しかし、業務フローをかけなかった2人は、ヒアリング結果のアウトプットとしてどのようなものをどのレベルまで作らなければならないかという明確なイメージをもっていませんでした。また、それを作るのに十分なだけ、自分たちがヒアリングの内容を理解したかどうかを確認する手段を持っていませんでした。言葉を聴いて点情報を点情報のまま関係付けることをせずに、日本語の文章として意味がわかったというレベルで「理解したつもり」になっていたのです。聞いている最中に理解度を確認することはできなくても、ヒアリングの直後に、実際に業務フローを書いてみる、ということをやってみれば、自分がどの程度理解しているかは分かったはずなのですが、それもやっていなかったのです。
 振り返ってみれば、私も昔からこんなことが出来ていたわけではありません。昔は、ヒアリング期間中は、ヒアリングの後でヒアリングメモを見ながら業務フローを書いて理解度を確認する、次のヒアリングで聞くことを準備するという作業で手一杯になっていました。しかし、それを繰り返しやっているうちに、いまはヒアリングの最中にそれができるようになったのです。
 しかも、いまでは、ヒアリングした内容は既に頭の中でアウトプットイメージに変換されているので、実際のアウトプットがどのレベルに達していれば合格点がもらえるか、というゴールもお客様にぶつける前に自ら設定できるのです。

 このことから、「理解する」には以下のことが必要だということがわかります。
・どれだけ理解すれば「必要なだけ理解した」といえるかという判断基準を持っていること。
・自分の理解がそのレベルに達しているかどうかを判断する手段を持っており、それを使って理解度を都度自己判定できること。
・理解するには、点情報どうしを関係づけることが必要。点情報を点情報のまま記憶している状態では、理解したかどうかは分からない。

 また、自分の経験に照らすと「理解する」技術の習得には訓練が必要だということも分かります。
・自分が理解しているかどうかの確認は最初は筆算しないとわからない。訓練すると暗算できるようになる。
・アウトプットの評価基準は相手の中にあるが、そのつもりで経験を積むことで、それを自ら設定することができるようになる。(これができて初めてプロと言える?)

 ヒアリングは、「理解力」を測るには絶好の機会です。是非皆さんも自分の「理解力」を計測するつもりで望んでみてはいかがでしょう?
posted by koppe at 11:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 90.最近の出来事から | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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