2006年08月07日

共通点の見つけ方

 前回の記事で、一般に知られている帰納法での例の使い方と、私が具体例から推論を組み立てる時の例の使い方がちょっと違うような気がしたので、厳密には帰納法といえないのでは?と疑問を投げかけました。
 しかし、どちらも「事実」→「推論」という論理の流れは同じです。私の使い方は帰納法ではないのでしょうか?
 そこで、改めて帰納法の説明をよくよくみると、「複数の事実の共通点に着目して一般論を導き出す」とは書いてありますが、共通点を見つけ出す手順には言及していません。
 そもそも、複数の事実の共通点とは、個々の事実のある一部なのですから、共通点を見つけ出すには、ある部分が同じであると分かるまで、個々の事実を分解することが必要です。
 それを行うためにまず1つの事実を分解してその構造を明確にする。つまり、分解方法のテンプレートをつくってから、他の事実にそのテンプレートを当てはめて分解する。その後で、分解された構造の部分同士を比較してどの部分が共通なのかを判断する。私が取り上げた具体例から推論を組み立てるときの例の使い方は、複数の事実の共通点を見つけるための思考手順の1つだということができると思います。
 その結果を人に説明するときは、共通点を見つける手順は特に説明の必要がないので、「複数の事実の共通点に着目して一般論を導き出す」となる。帰納法の一般的な説明と私の記事との違いはそういうことではないかと思うのですが、mokurenさんはどう思いますか?
 
posted by koppe at 10:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 10.具体例とは何か | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月28日

演繹法と帰納法

 mokurenさん、「関係と分解」は人間の頭の中の出来事、「具体例」は現実世界の出来事、確かにそうですね。それにしても、昔の「中国の百科事典」の動物の分類にはびっくりさせられました。昔は人間が直接接することのできる動物が動物のすべてだったということが関係しているのか、人間との関わりという観点で分類しようとしたように思えます。
 ところで、mokurenさんの記事に「この二つの「例」の使われ方、結局、前者が演繹法であり、後者が帰納法であると言えるのではないのでしょうか。」という記述がありますが、これには少し違和感があります。
 というのは、一般に「演繹法とはすでに得ている一般論(もしくは信ずる価値観)をある事象に当てはめて、その意味するところを必然的に引き出す、いわゆる三段論法的な論理展開のこと」、「帰納法とは、観察されるいくつかの事象の共通点に着目し、一般論(共通して見られる法則性)を導き出すという考え方」というように説明されています。(参考:「問題解決力」を高める思考スキル
 つまり、帰納法は「いくつかの事象の共通点に着目」するので、いくつかの事象である「例」が複数必要となるということになります。しかし、私の記事では「例」は1つしか挙げていません。ここでの「例」の使い方は「1つの具体的な事象を詳細に分析して、構造を明らかにし、その構造が他の例に適用できるかどうかを検証」しているので、厳密にいうと帰納法とはちょっと違うのではないかと思うのですが、いかがでしょう?
posted by koppe at 22:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 10.具体例とは何か | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月24日

「関係と分解」は人間の創造物?

 確かに、推論が初めにあってそれを補強するための事実としての「例」を挙げるときに使われるだけでなく、koppeさんが指摘したように、「例」という事実を手がかりにして推論を組み立てる場合もあるよね。でも、この二つの「例」の使われ方、結局、前者が演繹法であり、後者が帰納法であると言えるのではないのでしょうか。どちらの捉え方をしても、「関係と分解」が推論かつ未来時制であり、「例」が事実かつ現在完了時制であることには変わりはないと思います。
 また、関係と分解は人間の頭の中の出来事であって、そのままでは人間の頭の外界とはまったく無縁のものが構築される可能性があると思います。逆に言うと、外界と関係ない概念(関係と分解)が構築できること自体はすごいことだと思います。無から有をいくらでも作り出せるんだから。だからこそ、「例」というもので人間の頭の外界と結びつける必要があるのではないのでしょうか。
 ちなみに、この「関係と分解」が人間の頭の中で外界と関係なく行われることの具体例を挙げてみましょう。
M・フーコーという哲学者が「言葉と物」と言う本の中で、昔の「中国の百科事典」(この百科事典は一説によるとボルヘスという人の創作という話もありますが)にはこんな動物の分類があったということを紹介しています。

動物の分類:
  皇帝に属すもの
  芳香を放つもの
  飼い慣らされたもの
  乳呑み豚
  人魚
  お話に出てくるもの
  放し飼いの犬
  この分類自体に含まれるもの
  気違いのように騒ぐもの
  数えきれぬもの
  騾馬の毛の極細の筆で描かれたもの
  その他
  今しがた壷をこわしたもの
  遠くから蝿のように見えるもの

分類というものは、関係と分解によって体系化されたものだと思いますが、このような分類を現在において真顔で言うと笑われてしまいますよね。でも、当時は最高級の学問だったんですよ。分類が時代とともに変化していることがわかりますね。脳の外界にある動物というものはほとんど変化していないにもかかわらずこれだけ分類の仕方が変わっているのです。この例を見ても、関係と分解が外界の事実とは無関係に人間の頭の中で定義されていることが分かりますよね。

参考文献:「フーコー入門 」「はじめて読むフーコー」 「言葉と物」
posted by mokuren at 00:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 10.具体例とは何か | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月23日

「例」のもうひとつの使い方

 mokurenさん、面白い紐解き方ですね。「例」の反対は「推論」ですか。例は、聞く人が見知っているものである必要がありますから、聞く人にとって「事実」と思えるものでないと、「例」としての目的を果たせないですね。
 説明のときに説明した内容が相手に「推論」と受け止められている可能性があるとき、「例」という事実で「推論」を補強する。確かにこのような使われ方は多いですね。でも、例の使われ方はそれだけではないような気がします。
 たとえば、「2006年05月14日 これは一体何MECE?」の記事では、”たとえば「伝票を顧客にFAX送信する」というような機能を実現するための仕組みを明確化するには”と、まず、具体例の説明から入っています。つまり、何かを解明しようとするときに、手にとってみられる「例」という「事実」を手がかりにして「推論」を組み立てる。このような使われ方も多いのではないかと思いますが、mokurenさん、いかがでしょう?
posted by koppe at 11:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 10.具体例とは何か | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月22日

「例」ってなに?

 「関係と分解と具体例」、関係と分解については、それなりに議論してきましたね。いよいよ具体例について検討すべきときがきたようですね。でも、koppeさん、これは奥が深いですよ。
 まず、具体例の形容詞を取り去ると当たり前ですが例になりますよね。ある言葉が存在すると言うことは、その言葉とそれ以外を区別するために存在する。この表現は、今まで2対言葉として議論してきて公理1と定義したものの言い換え表現です。
 では、この「例」という言葉は例と何を区別しているのでしょうか? 例を反対語辞書等で調べてもその反対語はありませんね。そこで、自ら例とその反対を定義してみましょう。そのために、まず、「例」の意味をさらってみましょう。

--- 以下、「例」の意味をGoo辞書(三省堂提供「大辞林 第二版」)より抜粋 ----

(名)
(1) 相手に類推させるために、同種類の事柄の中からよりどころとして特に取り上げて提示するもの。
(2)判断の基準やよりどころとなる過去の事柄。先例。ためし。
(3)以前から世に行われている事柄。しきたり。ためし

(副)
いつも。つねづね。
-------------------

 これらの説明の共通項として言えることは、事実であり、時制でいうと現在完了、または、いつもを意味する現在形の表現で語られるものであることが分かります。
 これをここでの「例」の定義としましょう。すると「例」の反対は事実でないものであり、時制でいうと未来と言うことになります。これに該当する代表的な言葉を挙げてみましょう。そうですね、「推論」と言う言葉がありますね。

 「例」とは、「事実」のことであり、その反対は「推論」であると定義することにしましょう。このように定義してみると面白いことが見えてきます。
「関係と分解」と「具体例」の関係ですが、具体例が事実に当てはまるとすると、「関係と分解」は推論に当てはまることになります。
 よく人が人に説明するとき、最後に「たとえば」を付け足したくなる、または聞きたくなるのは、その説明が無意識の中で推論と受け止められているからなのではないのでしょうか? だから、その推論に当てはまる事実を言いたくなるし、知りたくなるのではないのでしょうか?
この観点でコミュニケーションを観察してみると面白いものが見えてくると思います。
posted by mokuren at 21:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 10.具体例とは何か | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月11日

具体例の種類

 「2006年04月15日 第3のより良く分かる方法は?」の記事で、第3の「対象をよりよく分かる方法」は「たとえば」または「たとえると」なのではないか書きました。その後mokurenさんがそれらを「具体例」と定義してくれましたね。
 「例えば」と「例えると」は、漢字も意味もよく似ているように思えますが、使い方を見てみると2つには大きな違いがあります。
 「例えば」は、ある分類に属する具体的な対象を挙げる場合に使います。「高級車には、例えばBMW、ベンツ、アウディ、セルシオがあります。」というような使い方です。
 「例えると」は、あるものの性質や機能など言葉だけでは理解しにくいものを、まったく別の何かに当てはめて説明するときに使います。こちらのページの中で、「人間で言えば」、とか「食べ物で言えば」がこの使い方に当たります。
 ところで、「2006年04月18日 具体例の挙げ方」の記事の中で露出の説明を具体例の例として取り上げましたが、これはどちらかと言えば後者の使い方です。ただし、何か1つだけを例えているのではなく、構成する個々の要素どうしの関係も含めて全体を丸ごと例えているところが違います。
 ということで、具体例の種類には、この3種類があると思うのですが、mokurenさんはどう思いますか?
posted by koppe at 21:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 10.具体例とは何か | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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